ー野に咲く花の冒険譚ー



「もう3日早ければ,お前は生きていただろうか。それが幸せかは分からないけれど,それでもあやめと共にいられただろう」



あやめはおそらく花つきだ。

こちらも遅れれば兄と同じになる。

花つきの子供は,血を大量に失って。

即死だった。

白目を向き開いた口を,どちらもそっと閉じてやる。



「すまない」



ぽたりと落ちた涙。

そこにも何か混ざっているのか,僕の花がそれをご丁寧に吸う。

ぺっと花が何かを吐き出した。



「青い……紫陽花?」



目の前で咲く紫陽花。

蕾の1つな紫陽花なんて知らないから,断定は出来ない。

けれど,子供のたった1つの花は紫陽花の形を選んだようだった。

咲くまでは流石に,何の花かなんて僕にも分からない。

紫陽花の花言葉は,家族や辛抱強い愛情,だったか。
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