ー野に咲く花の冒険譚ー
皮肉な話だ。
自身を蝕む花が自身を具現化しているなんて。
たまたまだろうがなんであろうが,これでは……浮かばれないだろう。
僕の花は真っ赤なユリだ。
人食いに適した形が,少しも好きになれない。
僕には顔でもついているように見える。
花つきになる前は,好きだった……気がするのに。
おまけに僕は純粋でも無垢でも威厳のある人間でもない。
何故僕の花はユリを咲かせたのか,少しも理解が出来なかった。
「あやめ……お前は名前の通りの花を咲かせるのか?」
つんとつつくと,手足が動いた。
これだけ大きければ,少しは話せるだろう。
起きたら兄がいないと泣くだろうか,それは困る。