「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~
「ラン、おれの話をきいてくれているかい?」
「えっ?」

 近い将来の自分の不幸について考えている間に、チャーリーが話しかけていたみたい。

「ウイルクス帝国がとんでもないことになっているんだ。厳密には、帝都がだけどね。さらに言うと、皇太子がだけどね」
「ああ、あの愚か者のこと?」
「ああ。あの愚か者のことだ。ギルモア国との協定を破ったらしい。ギルモアは軍事国。怒り狂ったギルモア国王は、すぐに精鋭軍に攻め入らせた。ギルモアに勝てる軍は、そうそういないからね。ウイルクス帝国軍は戦う姿勢も見せず逃げ散ってしまった。ギルモアは、苦も無く帝都を包囲している」
「まぁ、そうだったの」

 まるで実家でボヤ騒ぎがあった程度にしか思えないのが、自分でも不思議である。


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