冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
当時日奈子は中学生だったから、当然宗一郎の外での顔など知らなかった。そんなことになっているなんて驚きだった。

「あの時は私、中学生に嫉妬するなんて馬鹿じゃないのって思ってたの。そんな子供っぽいこと言ってたら、フラれるのも当然だって思ってた。でも今この状況をみたら、彼女たちの勘はあながち間違いじゃなかったみたいね」
 
そう言って日奈子を見る。
 
日奈子は慌てて口を開いた。

「そ……! 家庭教師をしてもらっていたのは確かですが、そんなつもりはなかったと思います」

「もちろん、その当時からってことはないだろうけど、誰よりも大切に思っていたことは確かみたいね」
 
美鈴がにっこりと笑う。

「彼すごく一途よ。だから考えてあげて?」
 
そう言って窓の外に視線を送った。

「私、宗一郎には幸せになってもらいたいの。なんて言うかな、同志のように思ってるのよ」

「同志?」
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