冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
「そう、ふたりとも旧財閥家に生まれて、重いものを背負わされてきたという意味でね。私はすべてを捨てて、自分の幸せのみを考えて生きるけれど、彼はすべてを背負い彼を取り巻く人たちの幸せのために生きるのよ。相当な覚悟が必要だわ。彼のことも心から応援したいのよ。だからせめて彼が本当に愛する人にパートナーになってあげてほしいと思うじゃない? もちろんあなたの方もそれを望んでいれば、の話だけど」
静かな口調でそう言う彼女の眼差しにも、覚悟が滲んでいるように日奈子には思えた。
すべてのものを捨てて反対を押し切ってでも自分の信じる道を進む、それだって宗一郎と同じくらいの覚悟がいると日奈子は思う。
「反対されても、自分の決めた道を選ぶのは、怖くないですか」
日奈子は思わず問いかける。ホテルスタッフとしては踏み込みすぎの質問だ。でも聞かずにはいられなかった。
どうしてそんなことができるのか。その強さはどこからくるのか。
美鈴が目を細めて青い空を見上げた。
「怖くても、後悔したくないもの。人生は一度きりなのよ。親や周りが、私のために言うことはわかっていても、その人生を生きるのは私なの」
「その人生を生きるのは私……」
「自分の気持ちに素直にいたいじゃない?」
「ご両親に反対されても……?」
その言葉に美鈴は大きく頷いた。
「両親は私が幸せにやってれば、いつかわかってくれるわよ」
そう言ってにっこりと笑う彼女を日奈子は心から美しいと思う。そしてこの強さが自分にもあればいいのにと心から思った。
静かな口調でそう言う彼女の眼差しにも、覚悟が滲んでいるように日奈子には思えた。
すべてのものを捨てて反対を押し切ってでも自分の信じる道を進む、それだって宗一郎と同じくらいの覚悟がいると日奈子は思う。
「反対されても、自分の決めた道を選ぶのは、怖くないですか」
日奈子は思わず問いかける。ホテルスタッフとしては踏み込みすぎの質問だ。でも聞かずにはいられなかった。
どうしてそんなことができるのか。その強さはどこからくるのか。
美鈴が目を細めて青い空を見上げた。
「怖くても、後悔したくないもの。人生は一度きりなのよ。親や周りが、私のために言うことはわかっていても、その人生を生きるのは私なの」
「その人生を生きるのは私……」
「自分の気持ちに素直にいたいじゃない?」
「ご両親に反対されても……?」
その言葉に美鈴は大きく頷いた。
「両親は私が幸せにやってれば、いつかわかってくれるわよ」
そう言ってにっこりと笑う彼女を日奈子は心から美しいと思う。そしてこの強さが自分にもあればいいのにと心から思った。