冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
午後八時を過ぎた自宅マンションの部屋で、チェストの上の母の写真を手に取って日奈子は昼間の美鈴の言葉を考え続けていた。
「自分の心に素直に生きる……」
美鈴の言葉が頭の中で『本質を間違えなければ』という宗一郎の言葉と重なった。
例えば日奈子が、母の言葉に背いたとしても、宗一郎と幸せになれれば、母は許してくれるだろうか。
「お母さんは、私が幸せになるなら許してくれる? それとも、やっぱり大奥さまの恩を仇で返すのは許さない?」
写真の母に問いかけても、もちろん答えは出なかった。
生きていてくれればと心底思う。例えばそれで反対されて喧嘩になったとしても生きてさえいてくれれば、話し合ってわかってもらう方法があるのに……。
ため息をついて写真を置き、ベッドにごろんと横になった。
携帯を手に取ると、メッセージアプリの宗一郎の画面を開いた。プロポーズを受けてから、携帯を開くと必ず確認するようになった。
一緒に天ぷらを食べた夜から一週間、直接顔を合わせていない。日奈子の夜勤が続いていたからだ。
今日は早番だったけど、おそらく彼の方が忙しいのだろう、連絡は入らなかった。
考えてから今まで、日奈子の方から連絡したことはほとんどない。彼は忙しい人だから、よほどのことがない限り、連絡するべきではないからだ。
……だけど。
なんだか、無性に会いたかった。彼の声を聞きたかった。
「自分の心に素直に生きる……」
美鈴の言葉が頭の中で『本質を間違えなければ』という宗一郎の言葉と重なった。
例えば日奈子が、母の言葉に背いたとしても、宗一郎と幸せになれれば、母は許してくれるだろうか。
「お母さんは、私が幸せになるなら許してくれる? それとも、やっぱり大奥さまの恩を仇で返すのは許さない?」
写真の母に問いかけても、もちろん答えは出なかった。
生きていてくれればと心底思う。例えばそれで反対されて喧嘩になったとしても生きてさえいてくれれば、話し合ってわかってもらう方法があるのに……。
ため息をついて写真を置き、ベッドにごろんと横になった。
携帯を手に取ると、メッセージアプリの宗一郎の画面を開いた。プロポーズを受けてから、携帯を開くと必ず確認するようになった。
一緒に天ぷらを食べた夜から一週間、直接顔を合わせていない。日奈子の夜勤が続いていたからだ。
今日は早番だったけど、おそらく彼の方が忙しいのだろう、連絡は入らなかった。
考えてから今まで、日奈子の方から連絡したことはほとんどない。彼は忙しい人だから、よほどのことがない限り、連絡するべきではないからだ。
……だけど。
なんだか、無性に会いたかった。彼の声を聞きたかった。