冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
おそらく、仕事終わりで本社にいたのだろう。
 
ほどなくして日奈子のマンションのインターフォンが鳴った。オートロックを解除して、次にドアのインターフォンが鳴ると同時に日奈子はドアを開けた。

「いきなり開けるなと言っただろう」
 
宗一郎は一瞬渋い表情になったが、すぐに日奈子を伺うように見る。

「どうした? 大丈夫か?」

「寒いから、中に入って」
 
日奈子が言うと、彼は一瞬躊躇したものの、頷いた。
 
部屋でベッドに横並びに座ると、宗一郎が日奈子の頭を手を乗せて、また心配そうに覗き込んだ。

「大丈夫か?」

「大丈夫。あの……ごめんなさい、急に電話したりして」

「いや、それはかまわない。ちょうど仕事が終わったところだったし。今日は終わりの時間が読めなかったから連絡しなかったんだが……寂しくなったんだな。こういう時は、いつでも呼んでくれたら俺は来るよ」
 
頭に乗る温もりと優しい眼差しに日奈子の胸はギュッとなった。
 
彼は日奈子が孤独を感じてSOSを出したのだと思ったのだ。だから一日中働いて疲れているはずなのにこうやって飛んで来てくれた。
 
——どうしてもこの人と一緒にいたいと強く思う。
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