冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
「俺だって、万里子さんのことは第二の母親だと思っている。万里子さんが日奈子を大切にしているのを誰より近くで見てたんだ。まったく見当はずれの解釈ではないはずだ」
 
そう言って宗一郎は少し申し訳なさそうに微笑んだ。

「それなのに、結局俺は日奈子を離せなかったんだ。万里子さんが怒るとしたら俺にだと思う。生きていたら、叱られるだろうな」
 
宗一郎がチェストの上の母の写真に向かって、誓うように言った。

「だけどそれでも俺は日奈子を愛してる。絶対に日奈子に苦労はさせない、日奈子の笑顔を生涯かけて守り続ける」
 
そして、日奈子に視線を戻し微笑んだ。

「そうすれば、万里子さんはきっと許してくれる。俺はそう信じることにするよ」
 
日奈子の目からまた涙が溢れる。
 
……本当のことはわからない。
 
でも母も宗一郎も日奈子を大切に思っていたことは確かなのだ。
 
——それでいい。
 
心からそう思う。
 
自分の心に正直に出した答えを、一生懸命貫き幸せになれれば、それでいい。

「宗くん、ありがとう。私、宗くんと結婚したい。一生一緒にいてくれる?」
 
すべての憂いから解き放たれた気分で日奈子は言う。

「ああ、俺たちはずっと一緒だ」
 
微笑む宗一郎の視線がゆっくりと近づく。
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