冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
「あー疲れた! 疲れた疲れた疲れた」
 
ホテル九条東京の二十五階、スイートルームにて、レセプション会場から退出した美鈴が、アクセサリーを外している。

「明日は、朝から雑誌エルの撮影です。午前七時に迎えにきます。午後は……」
 
アクセサリーを受け取るスタイリストの隣で、マネージャーと思しき女性が明日のスケジュールの確認をしている。
 
美鈴はそれに聞きながら、バスルームへ行き、レセプション用のドレスからバスローブに着替えて戻ってきた。日奈子はスタッフとして部屋の隅に控えている。
 
レセプションは滞りなく終了した。

美鈴の実家鳳家の屋敷は都内にあるが、彼女はそこへ帰らずにしばらくホテル九条東京のスイートルームに滞在することになっている。
 
ホテル九条ではジュニアスイート以上の部屋には専門のコンシェルジュが二十四時間体制でつくことになっている。
 
もちろんチームでつくのだが、今は日奈子が担当する時間だ。
 
しばらくするとマネージャーとスタイリストは帰っていった。

このタイミングで、日奈子は挨拶をするために、彼女に声をかけた。

「鳳さま、本日はお疲れさまでございました。このたびのご滞在、ホテル九条一同歓迎いたします。ゆっくりとお過ごしいただけるよう精一杯務めさせていただきます。コンシェルジュが二十四時、外のカウンターにおりますので、なんなりとお申し付けくださいませ」
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