冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
どうしてあんなにも美鈴と親しげだったのか。
熱愛疑惑は本当なのか。
 
——だったらなぜ日奈子にプロポーズしたのか。
 
でも当然聞くことはできなかった。
 
ふたり、黙って光る数字を見つめている。
 
宗一郎が口を開いた。

「今日はもうこれであがりだな?」

「……そうです」

「なら、いつもの場所で待ってる。おしゃべりしないで出てこいよ」

「⁉︎ そっ……! ふっ副社長!」
 
日奈子は彼の方を向き、勤務中だということも忘れて声をあげ彼を嗜める。

「副社長、ここ、ホテル内ですよ……!」

「だからなんだ。もともと俺と日奈子が幼なじみだということもべつに隠す必要はないんだぞ。日奈子が望むからそうしているだけで。俺はパーティでアルコールを口にしていないから自分の車を使う。おしゃべりしないで出てこいよ」
< 42 / 201 >

この作品をシェア

pagetop