冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
なにもする気力がないという様子の彼女を見ているのがつらくて、なにかをやれればいいと思い手をつけた羊毛フェルト。
宗一郎が作った柴犬の羊毛フェルトを見て、日奈子が見せた笑顔を思い出す。
『やっぱり宗くんって、すごいのね』
以前の明るい彼女を彷彿とさせる笑顔に、不覚にも涙が出そうになってしまった。
そしてこういう瞬間を積み重ね、日奈子の心が外の世界へ向くのを見守るのだと決意した。
宗一郎はデスクの上のプライベート用の携帯を手に取り、日奈子から来たメッセージを開いた。
《昨日の作品、ちょっと自信あり》
メッセージとともに添えられた写真には、羊毛フェルトの動物。その可愛らしい画像に宗一郎は笑みを浮かべた。
あの日から彼女はたびたびこうやって写真を送ってくるようになった。
少し明るさを取り戻しているように思える彼女からのメッセージが嬉しかった。
宗一郎は笑みを浮かべたまま羊毛フェルトの写真をジッと見つめる。
その後にもふたりのやり取りは続いている。
《上達したな。可愛い狸だ》
《狸ではありません》
じゃあなんの動物なのかと問いかける宗一郎からのメッセージに返信はない。画面の向こうで日奈子が頬を膨らませている様子が目に浮かび、宗一郎はくっくと笑った。
こんなたわいもないやり取りを重ねていければ、それでいいという気持ちになる。彼女に笑顔を取り戻す。
そのために生涯をかけると宗一郎は誓ったのだから。
——彼女が本当の意味で母の死を乗り越えたその先に、自分との未来があるなら、これ以上のことはないのだが……。
そんなことを考えながら、宗一郎は、画面の中で可愛くこちらを見つめる動物を見つめる。そして、メッセージを打ちはじめた。
宗一郎が作った柴犬の羊毛フェルトを見て、日奈子が見せた笑顔を思い出す。
『やっぱり宗くんって、すごいのね』
以前の明るい彼女を彷彿とさせる笑顔に、不覚にも涙が出そうになってしまった。
そしてこういう瞬間を積み重ね、日奈子の心が外の世界へ向くのを見守るのだと決意した。
宗一郎はデスクの上のプライベート用の携帯を手に取り、日奈子から来たメッセージを開いた。
《昨日の作品、ちょっと自信あり》
メッセージとともに添えられた写真には、羊毛フェルトの動物。その可愛らしい画像に宗一郎は笑みを浮かべた。
あの日から彼女はたびたびこうやって写真を送ってくるようになった。
少し明るさを取り戻しているように思える彼女からのメッセージが嬉しかった。
宗一郎は笑みを浮かべたまま羊毛フェルトの写真をジッと見つめる。
その後にもふたりのやり取りは続いている。
《上達したな。可愛い狸だ》
《狸ではありません》
じゃあなんの動物なのかと問いかける宗一郎からのメッセージに返信はない。画面の向こうで日奈子が頬を膨らませている様子が目に浮かび、宗一郎はくっくと笑った。
こんなたわいもないやり取りを重ねていければ、それでいいという気持ちになる。彼女に笑顔を取り戻す。
そのために生涯をかけると宗一郎は誓ったのだから。
——彼女が本当の意味で母の死を乗り越えたその先に、自分との未来があるなら、これ以上のことはないのだが……。
そんなことを考えながら、宗一郎は、画面の中で可愛くこちらを見つめる動物を見つめる。そして、メッセージを打ちはじめた。