ヒーローは間違えない〜誰がために鐘は鳴るのか〜
「送っていくよ」

新之助の痛みがぶり返し、座位が取れなくなった状況を合図に、ヒカルとユウリは病室を後にした。

「何かオジサマに急用だったのではないですか?お邪魔してすみませんでした」

「いや、おじは君に会うことをとても楽しみにしているんだ。まあ、君にとっては不本意かもしれないけど」

そんなことはない···とは言えずに、ヒカルは苦笑いでさえ誤魔化すことができなかった。

闇(病み)は思っている以上に深いのだ、と実感せざるを得ない。

それにしてもこんなイケメンさんに会ったことは今までないよな。

新之助は、とんだリーサルウェポンを隠し持っていたものだ、とヒカルは考えた。

とはいえ、例え顔が良くても、会社に全く関係のない彼は、現状ヒカルのなんの助けにもならないだろう。

まあ、イケメンならではのフェミニストぶりには癒やされるけど。

“もしや、そのためにユウリを呼んだとか?“

新之助絡み以外では、二度と会うことはないだろう他人(イケメン)にすら、内心毒を吐く自分の病み具合に呆れる。

”きっとこれ以上一緒にいたら彼を不快にさせてしまう“

ヒカルは我に返り、慌ててその場を離れることを決意した。

「ここまでで大丈夫です。会社に戻らなければなりませんので」

病院の玄関を出たところで、ヒカルはユウリに解散を告げた。

本当はこのまま直帰だけど、イケメンとはいえ、他人に気を使うのはこれ以上無理だと感じた。

さっきは驚きで涙は一旦止まったものの、相変わらず、心に渦巻く理不尽さを消すことはできていない。

なぜ?の嵐が、心の中で吹き荒れている。

「信用できない、かな?俺は、おじさん···新之助の甥なんだ。もっとも、専務である次男ではなく、三男の方の息子だけど」

“ありえないけど、やはりあの専務の?!”

という気持ちが表情に現れていたのか、ユウリは苦笑しながら聞いてもいない情報をカミングアウトしてきた。

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