ヒーローは間違えない〜誰がために鐘は鳴るのか〜
「君とも幼い頃におじの別荘で会ったことがあるよ。覚えてないかな?」

はて?とヒカルは、頭の中の想い出アルバムを紐解く。

「君は5歳くらいだったかな?富士の麓の別荘で···」

富士?別荘?あり得ないほどのイケショタ···?

「ユウチャン?!」

「そう!思い出してくれたかい?」

当時7歳のユウチャンは女の子みたいに可愛かった。

確かにブラウンのフワフワヘアとおひさまアイズは健在だけれども。

あれを大きくしたら、こんなにも細マッチョなイケメンモデル(仮)になるなんて!

奇跡的な成長ホルモンのやらかしに、ヒカルは只々、驚きを隠せなかった。

「ユウチャン、オオキク、ステキナイケメンニナラレマシタネ」

カタカナ、いやおばさんの定例挨拶のような言葉になるのも許してほしい。

それくらい衝撃的な再会だった。

「ねえ、何か悩みを抱えてそうな顔だけど、幼馴染の俺に聞かせてくれないかな?あの日は俺の悩みを聞いてくれただろ?お返しがしたいんだ」

「そうでしたっけ?でも、それは何年も前の話だろうし、私の話なんて面白くもなんとも···」

「俺じゃ頼りにならない?」

ちょっ、ちょっと、人外のフェロモン垂れ流すのやめてもらっていいですかね?

ヒカルはたじろぎ、2、3歩後ろに後ずさったが、不覚にもヨロケてしまった。

「おっと」

意外に逞しい腕に支えられて、抱き寄せられ身体が密着する。

自然な柔軟剤の匂いか、はたまたイケメンの香りか!?引き締まった筋肉がいい働きしてるやんか…!?って違う!

うっかり絆されそうになったヒカルは、ブンブンと頭を振りながら、

「あ、明日の、し、仕事に差し支えるといいますか」

「明日は休みだっておじ専務が言ってたよ。しかも今日は直帰だとも」

バレてる!!

久しぶりにあったはずなのに、完全に手のひらで転がされている。

「新之助おじさんにも、いい年してなんだけど、さっきお小遣いをもらったんだ。君と美味しいものでも食べなさいってね」

お巡りさん、ウインクする腹黒イケメンがここにいますよ!!

慌てるヒカルを無視して、ユウリはヒカルを現行犯逮捕された犯人のように引きずりながら、大病院の敷地を横切って駐車場まで連行するのであった。



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