悪役令嬢モノの悪役ヒロインに転生してしまった(嘘だと言って!)
「おかえりなさい、レティーシアお嬢様。」

「ただいま、ミリー。準備、よろしくね!」

「はい!楽しみです、早くお嬢様を着飾りたいです!」

「ふふ、期待してるわ。」

 ミリーは私の専属メイドであり、護衛でもある。年は16歳で、いつも明るく、頼れるお姉ちゃん的存在である。仕事もとても完璧にこなしてしまう。

 そんなミリーだが、過去に暗殺稼業をしていたことがある。

 私が8歳のとき、屋敷に忍び込み捕まった彼女を、私がメイドがほしい!と駄々をこねて許可をもらい、護衛兼メイドとしてそばにいてもらえることになったのだ。

 14歳で暗殺者なんて、すごい…!

 ちなみに、ミリーを我が家に仕向けた敵は、すぐさまお父さんが潰したらしい。それはもう、視線だけで人を殺してしまいそう雰囲気だったという。

 当時のお父さんの部下曰く、ものすごく怖くて、特にビビりな人なんかは味方でも逃げ出したらしい…

 それは当然、ミリーが殺せと命じられた人は私だったのだ…

「今日はどのような服装にしましょうか?」

「ミリーのおすすめでお願い!」






「さぁ、まずは湯浴みですよ〜!しっかりピカピカになっちゃってください!」

 前世では人に体を洗ってもらったことは、小さい頃しかなかったので、少し恥ずかしかったが我慢した。

「お嬢様はとても素敵です!髪の毛はきれいなミルクティー色、瞳は晴れた日の青空を思わせるような水色。しかも、肌は雪のように白く、
小柄な体型は周りの男性をひと目で虜にしてしまう…!」

「大袈裟よ、そんなに褒められたら恥ずかしくなってしまうわ。それに、小柄なことは気にしてるんだから!」

 浴室から出て、髪を乾かしながらミリーが褒めてきた。

 ミルクティー色の髪はふんわりとしたボブカットになっていて、髪質は柔らかい。それこそ、私が"紅茶姫"と呼ばれる理由なのだ。
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