【電子書籍化】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 シュトラウスはそう言って眉を下げ、心配げにフレデリカを覗き込む。
 その言葉と表情にきゅんとしたフレデリカからは、言葉にもならない声が漏れ出る。
 フレデリカは、彼のこういうところに弱かった。
 性別の違いに加えて、7つの年齢差。
 シュトラウスは、年上男性の自分の体力や気力にフレデリカを付き合わせ、無理をさせていないかと気が気でないらしい。

 彼に触れられるたび、その優しさと情熱を刻み付けられ、大事にされていることも実感し。
 フレデリカはもう、他の男性とどうこうとか、彼を好きでい続けることがつらいとか、そんなことはこれっぽっちも思わなくなっていた。
 男性としてのシュトラウスを知った今だからわかるが、初めての夜、彼はフレデリカのために相当な我慢をしていたはずだ。
 あの日の彼は、フレデリカをただただ優しく抱きしめて、眠らせてくれた。
 フレデリカに無理をさせないよう、これ以上疲労させないよう、怖い目に遭ったばかりの彼女に、男を刻まないよう、シュトラウスは耐えに耐えていたのだ。
 彼が自分のために我慢してくれたこと、大事にしてくれたことを後から理解して、フレデリカはさらにシュトラウスのことが好きになった。
 
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