【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
「……父上たちの話って、なんだったの?」

 いたたまれなくなったのか、アルフレドが話題を変える。
 今日、フレデリカとシュトラウスが王とストレザン公爵――両家の父親に呼び出されていたことは、アルフレドも把握していた。
 婚約者二人は顔を見合わせ、シュトラウスがフレデリカの言葉を促すように頷いた。
 弟を相手に、隠す必要もない。両者そう判断して、結婚の話が正式に進むようだと伝えた。

「そ、っか……。そろそろ結婚……。そうだよね、姉さんももう成人したし。……シュトラウスも、ようやく姉さんに向き合ったみたいだし」

 アルフレドの深紅の瞳が、シュトラウスに向けられる。
 遅いんだよ、と言いたげな視線を、シュトラウスは言い返すこともなく受け入れた。
 申し訳ない、自分が悪かったとしか、言いようがないからである。

「アル。その辺にしてあげて? ね?」

 フレデリカが困ったように微笑み、シュトラウスを庇うものだから、アルフレドはふいと顔をそらし、仕方がないといった風に息を吐いた。

「まあ、姉さんが幸せならそれでいいよ。……姉さんを泣かせたら、許さないからな」
「もう、アルったら。気持ちは嬉しいけど、あんまりシュウを困らせないの。アルがごめんなさい」
「いや、構わないよ。きみが家族に大切にされているのは、俺にとっても嬉しいことだから」
「シュウ……」

 うっとりと見つめ合い、二人の世界へ突入する婚約者たち。
 そんな姉と義兄(予定)の姿を見せつけられたアルフレドは、うんざりとした様子だった。

「いちゃつくなら、よそでやってくれない?」
 
 しっし、と二人を追い払うようにアルフレドが手を動かすと、フレデリカは照れた様子で、シュトラウスは小さく頭を下げてから庭の奥へと進んでいく。
 すっかり仲良くなった姉たちがいなくなり、一人になったアルフレドは、

「結婚、か……」

 と呟いて、空を仰いだ。
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