【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 フレデリカは俯く。
 王女としての自覚や、男性への警戒心はもっと持つべきなのだろう。
 だが、自分がきれいすぎるせいで、なんて言われても、困ってしまう。
 フレデリカのほうに、魅了してやろうだの、男性に人気になりたいだのといった気持ちはなかった。
 シュトラウスがいるのに、他の異性に好かれる必要などないのだ。
 危険な行動は慎むべきであるが、勝手に起きる問題を、どうやって事前に防げばいいのだろう。
 黙ってしまったフレデリカに、シュトラウスが笑いかける。

「すまない。きみを困らせてしまったな。本題はここからなんだ」

 シュトラウスは、フレデリカの銀の髪に触れる。
 しっかりと目線を合わせて、一言一言、彼女に届くよう大切に紡いでいく。

「これからは、もっと俺を頼って欲しい。一人で動かず、俺や周囲の人間を使ってくれ。さっきのハンカチも、俺に拾わせればいい。それでもなにか起こってしまった場合は、すぐに助けを求めて欲しい。絶対に、きみを守るから。もう、きみから逃げたりしないから」
「シュウ……」
「……指輪は、俺の自己主張だ。もう決めた男がいるのだと、きみに手を出そうとすれば俺が出てくるのだと、他の人間に教えるための」
「……そう、だったんだ」

 フレデリカは、己の左手を掲げ、薬指にはまった指輪を眺める。
 サファイヤをメインに、小粒のダイヤモンドが散りばめられたそれは、光を受けて輝いた。
 手を下ろすと、彼女は右手でそっと指輪に触れて、いたずらっぽく笑う。

「じゃあ、見せつけていかないとね? 私はもう、あなたに予約されてるって」
「ああ、是非そうしてくれ」

 柔らかな日差しの下、二人は笑い合う。

 左手薬指の指輪というものは、意外と気が付く人が多いようで。
 この日を境に、フレデリカに声をかける男は減り、彼女も積極的にシュトラウスに頼るようになった。
 全ての危険がなくなったわけではないが、少しだけ、シュトラウスも安心できた。
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