【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 王族と筆頭公爵家の結婚式だ。
 こういったことが起きるのも、想定の範囲内ではあった。
 しかし、愛する人が狙われていることを知って、いつも通りでいられる人間など、いないだろう。
 もしもを思うと、怖くて怖くてたまらない。
 彼女を失うことが、どうしようもないほどに、恐ろしい。
 だが、それは王やアルフレドにとっても同じこと。
 シュトラウスだけが、精神的な負荷を理由に、この「王女暗殺計画」から目をそむけるわけには、いかなかった。

 
 会議の途中、シュトラウスは、これまで数度、王に投げかけていた質問を、もう一度口にした。

「……フレデリック王。やはり、結婚式を中止には……」
「中止にはしない。式も披露宴も、予定通り行う。一国の主として、このような行為に屈することはできない。……たとえ、娘が狙われているとしてもだ」

 王の答えは、これまでと変わらなかった。
 わかってはいたことだが、シュトラウスはぐっと唇を噛み、うつむく。

「屈することはしない……が、絶対に、守りきる。愛娘の結婚式で、何事も起こさせはしない」

 王として、父としての、力強い言葉だった。

「アルフレド。お前は新しい動きがあれば、逐一報告するように。シュトラウスは、式の準備を進めつつ、ストレザン領とも連携して、フレデリカを守りきるために動きなさい。……お前は、この13年間、フリッカを守り続けてくれた。今回も、お前の働きには期待している」
「……はっ。このシュトラウス、なんとしてもフレデリカ様をお守りすることを、誓います」

 シュトラウスのこの言葉に、嘘はなかった。
 13年前の婚約の儀で、生涯あなたを守ると誓ったときから今まで、シュトラウスの気持ちは変わらない。
 けれど、どうしたって、不安を拭いきることはできない。
 絶対に守り切ってみせると思いながらも、フレデリカの安全のために式を中止したい思いも消えず、シュトラウスは葛藤していた。
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