【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 式を目前にし、王女暗殺計画の密告も受けた今、当日の警備については、何度も何度も、入念に打ち合わせが行われていた。
 庭を一般解放する際の持ち物検査は、厳重に行う。
 警備兵の数も増やし、怪しい動きをする人間がいれば即確保できるようにする。
 ストレザン領からの増援も要請。
 ただし、あえて情報を流してシュトラウスに兵を出させ、ストレザン領を手薄にすることが犯人の狙いである可能性も捨てきれないため、王都に召集できる人数は限られている。
 フレデリカを守るために多くの兵を招集した結果、守りの薄くなったストレザン領が落とされる、なんてことも考えられるのだ。
 全勢力を持ってフレデリカを守れないことが、シュトラウスは歯がゆくて仕方がなかった。



 会議を終えたシュトラウスは、そのまま王城内を進んでいく。
 結婚式に向いた暖かい季節だが、もう、日が落ちかけている。
 きっと彼女は、シュトラウスの到着を、今か今かと待っていることだろう。
 シュトラウスが向かった先は、フレデリカが保護されている部屋だった。
 狙われているのは結婚式の日だが、その前に危険がないとは限らない。
 フレデリカは元々使っていた私室を離れ、さらに守備をかためやすい場所へ移動していた。
 彼女の部屋は近衛兵が守っており、扉の両脇に兵が待機している。
 訪問者がシュトラウスであることを確認すると、彼らはフレデリカの確認をとってから、扉を開けた。


「シュウ!」

 シュトラウスの入室と同時に、フレデリカは彼に駆け寄り、そのままぽすんと抱き着いた。
 くっついたまま彼を見上げるフレデリカは、待ってましたと言わんばかりの笑顔を見せる。

「来てくれてよかった~! ねえ、この後は一緒にいられそう?」
「ああ。明日の朝まで、大丈夫だよ」
「やった! 守ってもらえるのは嬉しいけど、暇で仕方なくて……。シュウがいてくれるなら、明日まで安泰!」
「安泰って……」

 安泰とは程遠い状況では、と言いたくなるのを、シュトラウスはこらえた。
 フレデリカが、シュトラウスがいれば安泰だというのなら、安泰なのである。
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