【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 無事に式を終えるまで、フレデリカはこの部屋で保護されることになっている。
 元々の彼女の私室に比べると少し狭いが、一人二人で使うには十分な広さがあり、外に出なくてもいいよう、キッチンや浴室といった水場も備え付けられていた。
 ベッドなどはフレデリカの部屋から持ってきたものが多く、ぱっと見は、部屋が狭くなったこと以外、大きな変化はなかった。
 彼女が落ち着けるよう、できる限り元の環境に近い暮らしを提供しているのだろう。


「そうだ! 前に一緒に行った喫茶店、あるでしょ? あそこのクッキーとハーブティーを、近衛兵の方が差し入れてくれたの! 一緒に食べない?」

 一応、シュトラウスに確認をとる形にはなっているが、フレデリカは既にお茶の準備を始めていた。
 保護されるようになってからも、フレデリカは一部公務と式の準備を継続し、侍女や公務のためのサポート要員も近くにおいている。
 しかし、シュトラウスが彼女の元を訪れた際は、なるべく二人になれるよう気を回されていた。
 そうした方が、フレデリカの気が休まると判断されてのことだろう。
 既に侍女は退室済みなため、フレデリカ自らお茶をいれていた。
 シュトラウスが手伝いを申し出たが、フレデリカは「私にやらせて」「暇で仕方なかったの」とわざとらしく拗ねた表情を作った。
 
 ポットにいれたハーブティー、カップとソーサー、クッキーをテーブルに並べ、二人きりのお茶会が始まる。
 フレデリカは、

「やっぱり、ここのクッキー美味しい~!」

 と、王女とは思えぬとろけ具合で、にこにことクッキーを頬張っていた。
 シュトラウスと二人だから見せられる、素の姿だ。
 そんな彼女を可愛らしく思うと同時に、シュトラウスの胸は痛む。
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