【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
「俺は……どうしたら……」

 彼は、憔悴しきっていた。
 そんなシュトラウスを前にしても、フレデリカが揺れることはない。
 ゆっくりと目を閉じ、軽く息を吐くと、彼女の青い瞳は再び開かれた。

「私のことを一番に想ってくれて、ありがとう。シュウ」

 優しい声だった。
 今のシュトラウスにも、よく透き通った彼女の声は届く。
 シュトラウスは、弾かれるようにして顔を上げた。
 ようやく視線のあった彼に向かって微笑むと、フレデリカは姿勢を正し、静かに、けれど強い意志の宿った声色で続ける。

「私は、みんなを信じてる。お父様、アルフレド、王国の兵たち。……それから、シュウ。あなたのことも。みんなが守ってくれるって、信じてるから。だから私は、大丈夫なの」

 それは、これまで多くの者に守られてきた彼女だからこそ言える、心からの信頼の言葉だった。
 本当なら、側妃の娘であるフレデリカは、不要な王女として蔑ろにされてもおかしくはなかった。
 でも、みんなが守ってくれた。フレデリカが嫌な思いをしないよう、居場所がなくならないよう、必死になってくれた。
 だから、今の王女フレデリカがある。


 婚約は、彼女の意思に関係なく決められたものだったけれど。
 でも、シュトラウスは自分を愛してくれた。まだ幼いフレデリカを、守ってくれた。
 すれ違うこともあったけれど、それだって、フレデリカのためになると思って、身を引いていただけだった。
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