【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 気丈に振る舞う彼女だが、1つ、これだけはお願い、と自分の望みを通していることがあった。
 夜は、シュトラウスと共に過ごすことだ。
 元気そうに見えるが、口にしないだけで、本当は不安なのだろう。一人の夜が、苦しくなるぐらいには。
 シュトラウスももちろん彼女に応え、毎晩一緒に過ごしていた。
 身体を重ねる日もあれば、なにもせず眠る日もある。
 そのどちらも、フレデリカはシュトラウスの隣で眠りにつく。
 フレデリカは、シュトラウスを信頼して身を委ね、すぐそばで安心して眠ってくれる。
 彼女を愛する男のシュトラウスにとって、本当に喜ばしく、光栄なことだった。



 結婚式での暗殺計画だなんて、1番つらいのも、怖いのも、フレデリカ本人のはずだ。
 それでも、周囲の者を信頼してくれる。
 夜は一緒にいて欲しいと、自分に助けを求めてくれる。
 フレデリカを失うこと、彼女が傷つけられるかもしれないことは、恐ろしくてたまらない。その恐怖がなくなることはないだろう。
 けれど、怯えてばかりではいられない。

「守ると誓っただろう、シュトラウス……」

 婚約をしたあの日から、いや、その前から。
 何度も何度も、フレデリカを守ると誓ってきた。
 今こそ、その誓いを果たすときだ。
 彼女が向けてくれる信頼と愛情に、全力で応えるときがきたのだ。

 シュトラウスは、眠るフレデリカの下腹部あたりに、毛布の上からそっと触れた。
 ここに、新たな命が宿った可能性は、ゼロではない。
 それが今回ではないとしても――自分たちは夫婦となり、そう遠くないうちに、子をなすだろう。
 フレデリカを守ることは、まだ見ぬ自分の家族を守ることでもある。
 そのことを改めて理解して、シュトラウスは決意を新たにした。

 この日を境に、シュトラウスの中でなにかが変わった。
 彼女を守りたい、絶対になにもさせないという気持ちが確かな芯を持ち、彼をしっかりと立たせたのだ。
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