【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 リエルタの男たちが暗殺の阻止に向けて動く中、イヴェルクでは、ルーナが必死に情報を集めていた。

 形は歪だが、婚約者のテネブラエは、ルーナのことを愛しているようだった。
 彼とは数度顔を合わせただけで、愛されるような理由に心当たりはなかったが、毎日のように送られる花々や愛の言葉が、彼の気持ちを表している。
 ルーナは、彼に惚れたふりをしてテネブラエの懐に入り込み、リエルタでなにをするつもりなのか聞き出していた。
 騙すようで悪いが、アルフレドが罰を受ける、苦しむ、なんて言葉を聞いてしまっては、手段を選んではいられない。

 情報が入り次第、以前アルフレドに教えられた緊急用のルートを使い、彼に手紙を出した。
 リエルタに情報を流していると知られないよう、手紙は慎重に取り扱い、内容もぼかした。
 イヴェルクの風習の関係で、二人の寝室が別に用意され、就寝時間は部屋の行き来もないことが幸いし、なんとかここまでやってこれた。
 自分だとわかるように、封筒には青いシールをつけた。
 アルフレドはきっと、差出人が誰なのか気が付いてくれる。手紙を読み解き、真意を理解してくれる。
 そう信じて、ルーナは危険と隣り合わせの諜報を続けていた。


 そうするうちに、わかってきたことがある。
 テネブラエは、リエルタの第一王子であるアルフレドのことをたいそう嫌っている。
 ルーナに近づくストーカー、危険な男だと言って、アルフレドからルーナを守ると話すのだ。
 さらには、アルフレドの姉で、ルーナの親友であるフレデリカのことも敵視していた。
 テネブラエから見たあの姉弟は、ルーナを洗脳して自分のものにしようとする悪い人間のようだ。
 もちろんルーナは洗脳などされていないし、彼らを大好きだと思うのは、紛れもない自分自身の心だ。
 テネブラエがどうしてそんな風に思ったのかは、ルーナにもわからない。
 ただ、彼があの姉弟を心底嫌っていることは、確かだった。
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