【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 式の準備と暗殺への対策を同時に進めていくうちに、あっという間に結婚式当日を迎えた。
 フレデリカとシュトラウスが結婚式を行うのは、王城敷地内の教会堂だ。
 この教会堂は王族の結婚式にもよく使われており、二人が婚約の儀を行ったのもこの場所だった。
 ホールで行う披露宴と違い、こちらは両家の親族に、ごく一部の身分の高い者――例えば、フレデリカの親友で隣国の姫のルーナなど――と、その婚約者や配偶者のみが参列を許される。
 もちろん、ルーナとその婚約者のテネブラエも参列することになっており、招待状に記載された時刻が近づく頃には、王城にやってくる予定だった。


 結婚式まであと数刻といったころ。教会堂の一室にて。
 シュトラウスは使用人たちの手を借りながら、婚礼用の衣装に袖を通していた。
 今いる部屋はそう広くはなく、クローゼットやソファ、鏡といったものがあるぐらいで調度品は少ない。
 しかし装飾は見事なもので、落ち着いた雰囲気でありながらも、王城内の施設らしい豪華さも兼ね備えていた。
 ここは新郎が準備を行うための部屋として、代々使われているそうだ。
 婚約当時12歳だったシュトラウスは、前にもこの部屋に来たことがあると、覚えていた。
 新婦用の部屋は別にあり、フレデリカはそちらに通されている。
 
 シュトラウスは、黒を基調にして、見事な銀の刺繍が施された衣装を身に纏う。
 お色直しもあるが、披露宴でバルコニーに出るときもこの格好だ。
 いざというときフレデリカを守れるよう、見た目への影響が少ない範囲で、防具も着込んでいる。
 女性のフレデリカは、どうしても身体のラインや肌が見える服装となってしまい、上半身に他のものを仕込むのは難しい。
 守りはシュトラウスが引き受け、もしものときには彼女の盾となるつもりだった。

 着替えを終えて待機していたシュトラウスに、花嫁担当の使用人から声がかかる。
 どうやら、フレデリカも着替えが終わったようだ。
 新婦の控室にむかえば、そこには――。
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