【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
「……シュウ?」

 なにも言われないせいで不安になり、フレデリカはもう一度、彼の名前を呼んだ。
 きれいだとか。可愛いとか。そんな風に言ってもらえると思っていたのだ。
 ここで黙られてしまうと、それなりに悲しい。
 フレデリカの青い瞳が、不安げに揺れる。
 そんな彼女の姿を見て、シュトラウスはようやくハッとする。

「す、すまない。きみがあまりにもきれいで、なにも言えなかった」
「!」
「本当にきれいだ。このまま誰にも見せたくないぐらいだよ」
「だ、誰にも見せたくないって……」

 自分が望む言葉をもらったはずのフレデリカだが、いざ言われるとむずむずしてしまう。
 その後もシュトラウスが「独り占めしたい」「これだけきれいだと、結婚式なのにきみに惚れる男が出そうだ」などと言うものだから、フレデリカはもういっぱいいっぱいで。
 顔を真っ赤に染め上げながらも、ぽつりと、こう言った。

「シュウだって、すごくかっこいい、から……。他の女の人に、見せたくない……」

 小さな声ではあったが、シュトラウスが彼女の言葉を聞き逃すことはなかった。
 シュトラウスの頭の中で、りんごーんと、教会の鐘がなる。
 本日結婚するため、まあ間違ってはいない。
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