【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 そんなとき、ルーナの前にすっと影が落ちる。
 人の気配に顔をあげると、そこには、長い髪を1つにまとめた老紳士の姿が。
 ルーナと目が合うと、彼はにこにこと人好きのする笑みを浮かべた。
 式場にいる使用人と似た服装だ。おそらく、二人の結婚式のスタッフなのだろう。

「ルーナ様。フレデリカ王女が、式の前にあなたにお会いしたいとのことです。一緒に来ていただけますか?」
「フリッカが?」
「ええ。大親友のあなたと、お話する時間が欲しいと」
「……わかりました。今行きます」

 ルーナに続いて、テネブラエも立ち上がる。
 しかし老紳士は柔らかい仕草でテネブラエを制すと、

「姫様二人だけの時間を、少しいただけませんかな?」

 と、茶目っ気たっぷりに笑ってみせた。
 そんなことを言われてしまえば、テネブラエも引き下がるしかない。
 フレデリカとルーナは同性の親友だが、テネブラエはほとんど会ったこともない他人で、性別も違う。
 姫同士の時間に割り込むことは、できなかった。
 ルーナだけが奥に通され、テネブラエは控室に残ることとなった。

 老紳士はゲストの控室から離れ、人のいない方へとルーナを誘導していく。
 こちらにどうぞ、と老紳士が開いたドアの先にいたのは――

「……アル?」
「ルーナ……!」

 新婦のフレデリカではなく、弟のアルフレドだった。
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