【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 バルコニーからホールへ、フレデリカとともに無事に戻れたときには、シュトラウスは安心して座り込んでしまいそうだった。
 新郎新婦の席に戻ると、使用人が二人に「実行犯を確保」と耳打ちをする。
 二人は顔を見合わせると、互いに頷きあった。
 それでも気は抜けなかったが、式は滞りなく進み、お色直し等も行いつつ、閉会にむかっていた。



 多くの者が祝福の言葉を口にする中、それどころではない人物が、ホールの中にいた。
 イヴェルク王国のセンハイト公爵家次期当主・テネブラエだ。
 彼は、この披露宴でのフレデリカ暗殺を計画していた。
 しかし、フレデリカが襲われた気配はない。

 暗殺の実行犯として選んだのは、愛国心が強く、腕もいい男だ。
 リエルタの王家と筆頭公爵家の婚姻による国力強化を防ぐためだ、これは国の計画だと話せば、男は喜んで銃を手に取った。
 そんな人間が、実行直前になって逃げるとは思えない。
 男には、杖の形をした高性能な仕込み銃を渡した。射程も威力も十分なはずだ。
 老人に変装させておいたから、杖が没収されたとも考えにくい。
 恐らくだが――実行犯として用意した男は、リエルタの人間に確保された。

 婚約者のルーナも、挙式の前に呼び出されたきり戻ってこない。
 いくら体調が悪いといっても、数時間にわたって、一度も顔を出さないのはやはりおかしい。
 表面上は笑顔で取り繕っているが、テネブラエは相当に焦っていた。
< 168 / 183 >

この作品をシェア

pagetop