【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 テネブラエは公爵家の長男だが、子供時代の能力は弟妹に比べて低く、出来損ないとして扱われていた。
 イヴェルク王国の貴族の跡継ぎは指名制で、テネブラエが当主になれる可能性は、非常に低かった。
 そんな環境だったから、鬱屈とした性格になり。
 10代前半のころ、他国の姫も呼ばれているというパーティーに参加することになったとき、その姫が立場の弱い側妃の娘だと聞いて、なんだか気分がよくなった。
 第一王女のくせに軽んじられているなんて、どんな女なのだろう。
 よほど惨めな姿をしているに違いない。
 テネブラエは、他国の姫……ルーナを、バカにしてやろうと思いながら、意気揚々とパーティーへ向かった。
 
 しかし、その会で、テネブラエはルーナに恋することとなる。
 開会前に庭園を散策していたテネブラエは、足をもつれさせて転んだ。
 彼は、どんくさいところがあるのだ。
 自宅でこんなことが起きようものなら、親や弟妹に「やはりお前は出来損ないだ」と嘲笑されることだろう。
 知り合いに見つかる前に立ち上がろうとした彼に、一人の少女が手を差しのべた。

「大丈夫? 怪我してない?」

 青い髪に青い瞳をした、美しい少女。
 彼女の言葉や表情から感じられたのは、純粋にテネブラエを心配する気持ちだった。
 この少女こそが、他国からやってきた姫、ルーナ・ハリバロフだ。
 ルーナの手を借りて、テネブラエは立ち上がる。
 軽んじられた姫だというのに、優しく微笑み、初対面の少年に向かって手を差し伸べる姿に、テネブラエは憧れた。
 彼女は、自分にはないものを持っていた。
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