【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 ルーナは、自分たちの出会いを覚えていないようだった。
 手を差し伸べることぐらい、彼女にとっては当然のことだったのだろう。
 しかしテネブラエは、このとき向けられた優しさと、その手の温もりを忘れることはできず。
 テネブラエは、彼女を妻にしたいと思うようになった。
 そのためには、力が必要だ。
 以降、彼は必死に努力して後継者レースに食らいつき、見事に次期当主の座を勝ち取った。
 彼の努力も、今の地位も、初恋の人を手に入れるためのものだったのだ。
 しかし、ようやく彼女に手が届くと思えるようになった頃、ルーナが他の男と親しくしているという話を耳にする機会が増えた。

 相手は、リエルタの第一王子・アルフレド。
 ルーナのリエルタ留学中、エスコート役まで務めたという。
 嫉妬に狂ったテネブラエは、本人の了承も得ず、強引にルーナを自分の婚約者とした。
 婚約さえしてしまえば、ルーナは自分のものだ。
 だが、それだけでは気が収まらず、テネブラエはルーナの特別な人であるフレデリカと、憎き恋敵のアルフレドを制裁することを誓った。
 ルーナを自分のものにしたうえでフレデリカを暗殺し、アルフレドには精神的な苦痛を与える。
 そこまで済めば、過去の清算が済み、ルーナと幸せになれると思った。


 だが、現実はどうだ。
 ルーナは自分を裏切っていた。
 一緒に住むようになってから、仲良くなれたと思っていたのに。
 ルーナが本当に信頼していたのは、アルフレドだった。
 ルーナが選んだのは、婚約者の自分ではなく、リエルタの姉弟だった。

「ルーナ……。どうして僕を選んでくれないんだ。こんなに、愛しているのに」

 テネブラエの足から力が抜け、その場にへたり込む。
 そんなテネブラエを介抱するふりをして、アルフレドは、彼を連行するよう兵に命じた。
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