【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 色々ありつつも、ようやく喫茶店に到着した二人。
 フレデリカがシュトラウスに差し入れたものと同じハーブティーと、クッキー。
 加えて、サンドイッチといった軽食やケーキが彼らの前に並んでいる。
 ケーキは甘党のフレデリカのもので、サンドイッチは主にシュトラウスがつまんでいた。

 せっかくの休日に、いつぶりかもわからない二人でのおでかけ。
 本来なら、談笑しつつ「美味しいね」と笑い合いたかったところだが……。

「「……」」

 二人は、注文を終えてから無言であった。
 食事は進めているが、どちらも感想は言わない。
 何故なら。

 味が、わからない……!

 言葉にはしないものの、二人ともそんな状態だったからだ。
 転びそうになったフレデリカをシュトラウスが支えたあと。
 両者硬直してしまい、しばらくそのままだったのだが……。
 通行人の老紳士に「ラブラブだねえ……」としみじみ言われたことで意識を取り戻し、ぱっと離れた。
 ハッとしたときには町ゆく人々の視線を集めており、二人は会話もなく足早に目的地へ向かったのだった。
 
 そんなことのあとだから、どうにも気恥ずかしくて視線すらなかなか合わない。
 ここにシュトラウスの幼馴染でもあるブラームがいたら、シュトラウスの情けない姿に爆笑していそうだ。
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