【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
「シュウはさ、ほんとフレデリカ様のこと大好きだよな」
「当たり前だろう」
大好き。当たり前。
そんな言葉に、ぱあっと気持ちが明るくなる。
「この前のデートはどうだったわけ?」
「デートって……。ただ二人で町を歩いて、お茶をしてきただけだ」
「それをデートって言うんだろ……」
シュトラウスにデートだと思われていなかったことを知り、フレデリカはしおれる。
デートのつもりだったのに……。
「これだけフレデリカ様のことが好きで、二人での外出をデートだと思ってないって、なんなんだよお前……」
呆れるようなブラームの言葉。もっともである。
二人は付き合いの長い婚約者で、シュトラウスはフレデリカのことが大好き。
ならば二人での外出は、デート、という扱いでいいはずだ。
そうだそうだ! あれはデートだったはず!
と、フレデリカは心の中でブラームに加勢した。
しかしその勢いも、続くシュトラウスの言葉で、一気に削がれることになる。
「……俺は確かに彼女のことを大切に思っている。だが、お前が思っているような感情じゃない」
「じゃあ、どういう感情なわけ?」
「フリッカは……妹のような存在だ。妹との外出を、デートとは言わないだろう」
扉の前に立つフレデリカが、青い瞳を見開いた。
妹。シュトラウスは、フレデリカは自分の妹のようなものだと。そう言った。
たしかに、昔は兄妹として過ごしてきた。まだ幼い自分を、シュトラウスが気遣ってくれたからだ。
しかし、今はもう互いに成人しているし、にいさま呼びもやめている。
今のフレデリカはもう、シュトラウスを兄としては見ていなかった。
兄ではなく――フレデリカの、大好きな婚約者だった。
けれど、彼は違う。
シュトラウスの中では、フレデリカは妹のままだったのだ。
それでは、フレデリカの想いが届くわけもない。シュトラウスが自分と同じ気持ちなわけもない。
だって自分は、いつまで経ってもシュトラウスの妹なのだから。
フレデリカの手から、ハンカチの入った小袋がするりと抜け落ちた。
あまりのことに、ハンカチを拾うこともできず、フレデリカはその場をあとにした。
王女として繕うこともせず、走って。こぼれそうになる涙をこらえながら、シュトラウスのそばから逃げ出した。
「当たり前だろう」
大好き。当たり前。
そんな言葉に、ぱあっと気持ちが明るくなる。
「この前のデートはどうだったわけ?」
「デートって……。ただ二人で町を歩いて、お茶をしてきただけだ」
「それをデートって言うんだろ……」
シュトラウスにデートだと思われていなかったことを知り、フレデリカはしおれる。
デートのつもりだったのに……。
「これだけフレデリカ様のことが好きで、二人での外出をデートだと思ってないって、なんなんだよお前……」
呆れるようなブラームの言葉。もっともである。
二人は付き合いの長い婚約者で、シュトラウスはフレデリカのことが大好き。
ならば二人での外出は、デート、という扱いでいいはずだ。
そうだそうだ! あれはデートだったはず!
と、フレデリカは心の中でブラームに加勢した。
しかしその勢いも、続くシュトラウスの言葉で、一気に削がれることになる。
「……俺は確かに彼女のことを大切に思っている。だが、お前が思っているような感情じゃない」
「じゃあ、どういう感情なわけ?」
「フリッカは……妹のような存在だ。妹との外出を、デートとは言わないだろう」
扉の前に立つフレデリカが、青い瞳を見開いた。
妹。シュトラウスは、フレデリカは自分の妹のようなものだと。そう言った。
たしかに、昔は兄妹として過ごしてきた。まだ幼い自分を、シュトラウスが気遣ってくれたからだ。
しかし、今はもう互いに成人しているし、にいさま呼びもやめている。
今のフレデリカはもう、シュトラウスを兄としては見ていなかった。
兄ではなく――フレデリカの、大好きな婚約者だった。
けれど、彼は違う。
シュトラウスの中では、フレデリカは妹のままだったのだ。
それでは、フレデリカの想いが届くわけもない。シュトラウスが自分と同じ気持ちなわけもない。
だって自分は、いつまで経ってもシュトラウスの妹なのだから。
フレデリカの手から、ハンカチの入った小袋がするりと抜け落ちた。
あまりのことに、ハンカチを拾うこともできず、フレデリカはその場をあとにした。
王女として繕うこともせず、走って。こぼれそうになる涙をこらえながら、シュトラウスのそばから逃げ出した。