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第二章 検証
(大変な事になってしまった…)

桐山は心で呟くと同時に、激しい尿意に襲われた。

トイレに行く直前に男が現れ、桐山は驚きの余り尿意を忘れていたのだった。

桐山はトイレに入ろうとして歩き出した。体が軽い!

桐山は愕然とし、男の言葉を思い出した。

『肉体が修復…』


桐山の手には、まだ先ほど吐き出した歯の被せ物が握られていた。

桐山はそれをゴミ箱に捨ててから、トイレに入り、放尿した。

その瞬間!

自分の尿にが普通じゃない事に驚いた!
赤黒く、汚い液体が、勢いよく便器に注がれているではないか!

しかも、悪臭が凄かった。放尿が終わりに近づいた頃、尿は徐々に普通の色に変わっていった。

(修復による作用か…?)

放尿を済ませて、洗面台へ振り向いた桐山は、鏡に映った自分の顔を見て、まさに目を疑った!

(コレが俺の顔か?)

鏡には確かに桐山の顔があった。しかし、その顔は、まるで20代半ばの頃の桐山の顔だった。髪のボリュームが明らかに増している。張りのある肌は、健康的で生き生きとしている。
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