神託で決められた結婚相手が四十路間際の中年伯爵さまでした。とても気が合って良い方なのですが、私も彼も結婚する気はありません。
神託の巫女

01.


 『神託の巫女』が隣国に現れた。その報せがルルサス王国にもたらされたのは、秋のとある日のことだった。

 『神託の巫女』が最初に出現したのは、今より約千年前。
 その巫女は、夢の中で神の声を聞くことができたという。

 神とは、数多いる神たちの中でも、男女の愛をつかさどる慈しみの女神。
 女神が夢で告げるのは、祝福され、結ばれるべき者の名前。

 要するに神託とは、結婚するべき男女の組み合わせが天啓として示されるもので、その男女が婚姻を交わした時、彼らは何よりも深い愛情で結ばれて、絆は未来永劫揺らぐことはなかったらしい。

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