ざまぁ代行、承ります。星空の女神は沈黙の第二皇子とお兄様に溺愛されて、代行業に支障を来しているようです。

VS変態令嬢inツカエミヤ

「侍女風情が!このわたくしを、いつまで待たせる気!?」
「も、申し訳ございません……!」
「早く着替えを手伝いなさい!」
「は、はい……!」

 あら?ツカエミヤに頼むことは、案外普通なのね。
 着替えさせろ、なんて。まずは至る所に散らかっているガラスの破片と羽毛をどうにかするのが先ではないのかしら……?

 変身魔法は、私の外見を迷える子羊そっくりに変化させる魔法であって、身も心も迷える子羊になりきれるわけではない。
 遣ろうと思えば、身も心も迷える子羊そのものになりきれるけれど、魔力消費量のことを考えると、朝から晩までなりきるのは厳しいものがあるのよね。

 私はここぞと言う時にしか使わない。
 今の私は、内面こそミスティナのままだけれど、外見はツカエミヤの状態を維持している。
 いざと言う時が来ないことを、祈るしかないわね。

 私は変態令嬢の衣服を脱がせると、クローゼットの中から真新しいドレスを手に取り、彼女に着せる。

「早くしなさいよ。これから第二皇子の元には、山程ご令嬢が謁見を求めるのだから!強いインパクトを残して、わたくしを選んで貰うのよ!」

 強いインパクトを残したいのなら、喜んで手伝うわ。
 貴方のような変態令嬢が、第二皇子の伴侶になることはないだろうけれど、ね。
 私は変態令嬢と呼ばれるに相応しい細工をするため、変身魔法を使ってこっそり発動させてから、彼女にドレスを着せた。

「ふん、悪くないわ」

 ドレスに細工がなされているなど思いもしない変態令嬢は、満足そうに着飾った自分の姿を水鏡で確認している。
 変態令嬢は自分で生み出した惨状を元の状態に戻すよう侍女仲間へ指示を出すと、王城へ向かうと言い始めた。
 ツカエミヤは変態令嬢のお気に入りだそうで、侍女として彼女に同行するらしい。侍女仲間から、憐れみの視線が向けられる。不快だわ……。

「第二皇子は、星空のように美しき黒髪と、星のように輝く金色の瞳を持つご令嬢を探しているそうよ!第二皇子の想い人はわたくし、アンジェラこそが相応しい!」

 アンジェラ・ラヘルバ公爵令嬢は、漆黒の黒髪に、淡い黄色の瞳を持つ。
 第二皇子が手紙に認めた条件とは一致しているけれど、彼が思い描く星空の女神がミスティナ・カフシーであることを知っている私は、なんとも言えない気持ちになった。

 あなたの努力だけでは、第二皇子の心は奪えないわ。

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