ざまぁ代行、承ります。星空の女神は沈黙の第二皇子とお兄様に溺愛されて、代行業に支障を来しているようです。
「早く……」
「……うん。早く二人で、愛を確かめ合おう。おれだけの、星空の女神」

 誰が愛を確かめ合おうなんて誘ったのよ!

 元気なら第二皇子食って掛かったけれど。残念ながら今の私に、そんな元気はない。
 こうなってしまった以上は仕方ないわ。変身魔法薬の効果が切れて、変身魔法が解除されてしまうより前に。変態令嬢は、第二皇子に印籠を渡して貰いましょう。

「疑う余地などない。おれが星空の女神だと言ったら、彼女は星空の女神だよ」
「ふざけてる……!」
「ふざけているのは、君の方だよね。アンバー」
「はい、殿下」
「この者は、おれに向かって何度嘘をついた」
「6回です」

 聞いたことがあるわ。
 沈黙の皇子に寄り添う従者は、不思議な魔法で不正を暴くと……。
 嘘を見抜けるのだとしたら、私がツカエミヤに成り代わっていることが第二皇子へすぐバレたのも頷けるわね。
 この従者がいる限り、私の変身魔法は意味を成さない。本当に迷惑なことだわ。

「嘘なんて、つくわけがないわ!」
「7回」
「おれは星空の女神と同じくらい、アンバーの言葉を信じている。まだ罪を重ねるなんて、懲りないね」
「信じてください!殿下は騙されているのよ!ツカエミヤが星空の女神だなんてありえない!わたくしこそが、殿下の妻に相応しいのに……!」
「8回」

 どれほど変態令嬢が言葉を重ねようとも、彼は淡々と嘘であるとばっさり切り捨てる従者の声を聞き、変態令嬢を冷たくあしらった。
 今の言葉に嘘があるとすれば、騙されているの部分かしら?
 変態令嬢は騙されていると大騒ぎしながら、心の中ではツカエミヤと私の違いに気づいている。それを認めたくないから、嘘をつく。そんな所ね。

「おれの妻に相応しいのは、星空の女神だけだよ。星空の女神は恥ずかしがり屋でね。おれの前以外では、けして素顔を見せないんだ。おれの女神。おれだけの女神。愛してる……」

 愛の告白なんてどうでもいいから、さっさと終わらせて。

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