ざまぁ代行、承ります。星空の女神は沈黙の第二皇子とお兄様に溺愛されて、代行業に支障を来しているようです。
 彼は私を慈しみ、愛おしそうに抱きしめる手を強くした。彼が私に一目惚れをした話は、お腹いっぱいになるほど散々聞いたわ。恥ずかしいし、それどころじゃないと言っているでしょう。聞こえなかったのかしら?

「殿下。ご決断を」
「ああ、そうだった。君、目障りだから、消えてくれる?」

 従者に促された彼の声は、鶴の一声となって護衛として連れてきていた王国騎士団員を動かした。

「ぶ、無礼者!触らないで!私を誰だと思っているの!?わたくしは公爵令嬢よ!?」

 騎士団員達は変態令嬢を捕らえると、喚く彼女に目もくれず引き摺っていった。
 残された取り巻き令嬢は怯えた表情で

「茶会はお開き。君たちも、もういいよ。彼女は連れて行くけど、いいよね?」
「はい!」
「ど、どうぞ!お連れください!」

 白む視界の中、取り巻き令嬢達が緊張した声音で私を第二皇子へ売る声が、やけに大きく聞こえたのは──気の所為だと思いたかった。

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