朝型ちゃんに一目惚れ
「…これ…!」

 陽菜ちゃんは袋からヘアアクセサリーをそっと取り出す。

「あ…ほしいって言ってたの、これじゃなかった…?」

 俺は不安になりながら、アクセサリーを見つめる陽菜ちゃんを見た。

 すると陽菜ちゃんは激しく首を横に振る。

「これが、私が欲しかったアクセサリーです…!カズキ先輩、わざわざ私に…ありがとうございます…!!」

 陽菜ちゃんの声が少し震えている。
 俺はさらに不安になって、下を向いている陽菜ちゃんの顔をうかがおうとした。

「…先輩ずるいです…私、せっかく仁科先輩と考えてたのに…」

 陽菜ちゃんが小さな声でそう呟く。

「…え?何を?仁科と??」


 陽菜ちゃんは苦笑いのまま、混乱する俺の顔をまっすぐに見た。

「…カズキ先輩。私、先輩が好きです、私と付き合って下さい。それでまた一緒に、あの場所に朝日を見に行きませんか?」

 あまりにもまっすぐに、スッと差し出された陽菜ちゃんからの言葉。
 少し驚いたけれどその言葉がなぜか俺の中にストンと降りてきて、俺は笑って返事をする。

「…陽菜ちゃんこそ。俺もね、同じこと言うつもりだったんだ。…陽菜ちゃんが好きだよ、俺と付き合って。それでまた行こう、朝日を見にさ」

 陽菜ちゃんはそっと俺のそばにきて、俺の手を握る。

「ありがとうございます、カズキ先輩…!!」
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