朝型ちゃんに一目惚れ
 その日、朝早かったからか、夕方過ぎにかなり眠くてそのまま眠ってしまい、夜中に起きてしまった。

 眠れない……
 陽菜ちゃんのことが頭をチラつく。

 昨日の晩は奇跡だったのか……
 ダメだ、もう……

 結局その後は眠れず、そのまま夜を明かした。


 次の日の俺は案の定いつも通り。朝から頭の中がぼやけている。

いつも通りギリギリに教室に着いた俺を、渡瀬と吉田は冷やかした。

「一日で逆戻りかよ〜!さすが吸血鬼カズキ!!」

「珍しいことをするって気持ちで起こした奇跡だったんじゃないの〜?あ、美女じゃないけどうちの妹の血、吸ったらダメだからな??」

「…んなこと、しないよ……眠……」

 俺の声もほとんど出ていない。


 そうか、もしかしたら俺、陽菜ちゃんにカッコ悪いところ見せたくなくて……


 授業も案の定だった。

「またですか星野くん……大丈夫?具合悪いの??」

 教科担当の先生が不安そうに俺の顔を覗く。

 …俺はきっと、恋の病とかいうやつなんだ……


 放課後のファーストフードの片隅。
 俺のそばでニヤニヤと笑う吉田と渡瀬をチラチラ見やりながら、陽菜ちゃんから早起きのための講義を受ける。

「体、朝に慣らさないとだめかもしれませんね。お昼寝も、してもいいと思いますが、夕方前にして、し過ぎは良くないそうなんです」

「そっか……」

「それから、もし次早く起きたいときには、前の日はなるべく体を動かして、早めに眠れるように準備をしたほうがいいと思います。毎日少しずつ、いつもより早く寝るようにして…」

「そうだな…ありがとう、陽菜ちゃん」
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