いつしか愛は毒になる
杏子が綺麗にネイルの施された指先で、俺のネクタイの結び目をツンと突いた。

「雅也ひどーい、わざと奥さんの飲み物に避妊薬入れて、子供だって作ってないくせに」

「おいおい、俺の前以外でそれ言うなよ。それに最近、早苗のことなんてとても抱く気になれなくてね」

「そんなこと言って、ほんとに早苗さんのこと抱いてない?胸は結構大きくなかった?」

「やめろよ。抱くなんてありえないね、あんな辛気臭い女」

「あはは。ひっど。ね、雅也、これ見てー」

杏子が甘えた声でスマホの画面をこちらに向ける。

「セリールのバック。新作だって、可愛いでしょ?」

「しょうがないな。今度買って杏子の家に持っていくよ」

俺はするりと杏子の頬に唇を寄せた。

「で、いつ家にいったらいいんだ?」

「ふふ、今日は都合悪いけど明日なら」

杏子の甘い声と匂いに誘われるように、俺は杏子を真正面から抱き寄せた。

「おいで」

「……もう、明日まで待てないの?」

「朝から杏子が魅力的すぎるんだよ」

「ふふっ……しょうがないわね」

「声我慢しろよ」

そう言って俺は杏子と唇を重ねると、すぐに杏子のブラウスのボタンに手をかけた。
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