いつしか愛は毒になる
「ちゃんと高坂社長に聞いてくれたんだな」

「えぇ」

俺は麗華を抱き寄せると、ブラウンの長い髪をひとつかみして口づけた。

「で?高坂社長は渋ってた都市開発の契約、うちと契約してくれるって?」

「ふふ、せっかちなのね。そうよ……私から高坂にお願いしたら、しょうがないなぁって言ってくれたわ」

「じゃあ、明日の料亭での接待に契約書持っていってもよさそうだな」

「まあね、でもほんと雅也さんって……悪い人なのね。私のこと、こうやって利用して……早苗さんっていう素敵な奥様がいながら……私なんてどうせ遊びなんでしょ?」

「麗華が遊び?そんなわけないだろう?」

俺は麗華の唇を奪うように口づけた。

「ンンッ……もう、ダメよ。早苗さんに気づかれるわ……せっかくご近所さんとして仲良くしてるんだから」

「いつも相手させて悪いな」

俺は早苗の顔を思い出して、ため息を吐きだした。

「はぁ、このまま麗華の家に泊まりたかったよ」

「また《《明日》》ね」

「《《明日》》か、楽しみにしてるよ」

俺は頬の横で小さく手をふる麗華に頷いて答えると、早苗の待つ家へと重い足取りで帰った。

──この時の俺は知らなかったんだ。俺がどんなふうに破滅へと向かっていたのかを……
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