いつしか愛は毒になる
──『かゆいよ、かゆいよ』

と、泣き叫ぶ早苗のせいで生放送は途中で打ち切り、挙句うちの浴衣に使われている染料に化学物質が含まれているせいで、小さな子供のアレルギーをひきおこしたと風評被害が広がり、父の会社は倒産。父は借金苦に自殺した。

「親父が自殺したのも……俺が引き取られた親戚の家で虐げられて育ったのも、ずっとずっと……金に苦労したのも全部全部、早苗のせいだ!」

俺は父の最期の姿を思い出し、奥歯をギリッと噛み締めた。

「もっともっと苦しめてやる……俺から全部奪ったように……お前からも奪ってやる!!」


──プルルルップルルルッ

俺はスラックスの中で震えたスマホを取り出すと相手の名前を確認する。表示された名前に俺の口角は無意識に上がった。

「ふっ……何の相談かな?」

俺は直ぐにスマホをスワイプした。
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