いつしか愛は毒になる
私は雅也が帰宅してないと知りながらも、おずおずと自宅に入ると、すぐにシャワーを浴びた。髪と身体を洗い、全身鏡に自身の身体を映す。

(大丈夫……いつもと変わらない……)

鏡に映った自分の顔も身体も昨日と何の変化もないが、智の温もりが心と体の奥にしっかりと刻まれているのがわかる。

「私……」

今更ながら、智と偶然再会し、流されるがまま身体を重ねたのが良かったのかどうかは分からない。

ただ智との行為は、今朝見た雅也と杏子の情事と何ら本質は変わらない。私は、さっとパジャマに着替えると台所へ行き、コップに水を注ぐと一気に飲み干した。

(あんなに……雅也さんに嫌悪感を抱いたのに……私は同じことを……)

でもなぜだか分からないが、どこかで智とのことを肯定したがっている自分自身に気づく。

なぜならあんな風に慈しむように抱かれたのは久しぶりだったから。自分の苦しみも哀しみも痛みも全て攫って、心も身体もまるごと愛情で抱きしめてくれるような優しいセックスだった。
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