いつしか愛は毒になる
──ピロン

聞こえてきたメッセージを告げる音に、私はすぐにスマホを手にとり、のぞき込む。

──『早苗、今日は会えて嬉しかった』

私はすぐに返信をする。

『私も智くんに会えて、話を聞いてもらって良かった……ありがとう』

──『これからのことまた相談しよう』

私は智からのメッセージに返信しようと文字入力を始める。その時にふいにスマホから着信音が流れてきて、私は勢い余って通話ボタンをタップした。


──『俺だ、早苗随分電話に出るのが早いな』

聞こえてきた雅也の声に私は大きく体を震わせた。

「ま、雅也さん……どうしたの?」

──『なんだ?夫が妻に電話を掛けたらいけない決まりでもあるのか?そもそもスマホを弄って何してた?』

「え……あの、お料理の検索を……」

私の咄嗟についた嘘に雅也の乾いた笑い声が聞こえてくる。

──『クククッ、どうせ大したもの作れないんだ、無駄なことはするなよ。あと今夜は帰らないが、明日の午後に一度着替えに帰るから、それまでに必ずクリーニングに出している俺のスーツを取ってこい!分かったな?!』

「は、い……分かりました」

私は電話が切られてからも暫くスマホを見つめたまま動けなかった。

(もう、雅也さんとは暮らせない……)

私は目じりに浮かんだ涙をきゅっと手の甲で拭った。その時再度スマホが鳴る。

「あ……っ」

私は縋るような気持ちで通話ボタンをスワイプした
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