いつしか愛は毒になる
俺が早苗に電話をし終わると、仲居がすぐに食事を下げ布団を引いてくれた。俺は手元の時計で時間を確認する。

(麗華が高坂社長と出て行ってから十分ほどか……)

その時、襖の向こうから艶のある声が小さく聞こえてくる。

「雅也さん、入ってもいい?」

俺は唇を持ち上げながらすぐに返事をした。

「入れよ、麗華」

すっと襖が開けば、麗華がブラウンの髪を靡かせながら部屋へと入って来る。

「高坂社長は?」

「えぇ、無事にタクシーに乗せたわ」

「そうか、お疲れ」

「雅也さんもお疲れ様、契約無事に終わってよかったわね」

麗華が俺の鞄の中に入っている契約書を指さした。俺は麗華の身体を背中から抱き寄せる。

「麗華のおかげだよ、ありがとうな」

「ふふ、良かったわ。お役に立てて……」

麗華を抱くのは今晩がはじめてだ。なんだかんだと焦らされてきたがようやく抱けると思うと、麗華の甘い香水の香りとブラウスの首元から見える白い肌にすぐに欲情してくる。
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