いつしか愛は毒になる
「どういうことだ? 麗華くん?」

高坂社長が俺を睨んだまま、麗華に静かに問いかけた。すると麗華がポケットから何かを取り出すと、高坂社長に向かって差し出した。

「なっ……どういうことだ! これは雅也くんのネクタイピン!」

(え?)

状況が上手く呑み込めない俺は眉間に眉を寄せたまま、呆然と麗華を見つめる。

「実は……先日……早苗さんと飲んでいて、珍しく酔っぱらってしまって……雅也さんが送ってくださったんですけど……その時……ひっく……無理やり、私っ……」

(なに言ってんだ、この女っ!!)

「いい加減にしろよっ! 頭おかしいんじゃないのか?! 一体何のためにこんなことを! 俺に何の恨みがあるんだ!」

俺の言葉に身体を大袈裟に揺らすと、麗華がネクタイピンを畳にそっと置いた。

「……襲われたとき……新山社長が落として帰られてて……私、誰にも言えなくて」

「ふざけるなっ!!」

「それはこちらの台詞だ!」

俺の怒号に高坂社長が再度、俺の胸元を掴み上げると容赦なく拳を振り下ろした。そしてすぐに麗華の側に駆け寄っていく。

「麗華くん、分かった。もう分かったから……あとは俺に任せなさい……こんな鬼畜のような真似をしたヤツ、ただじゃすませない!! ……いまから警察に……」

「それはダメですっ、お願いします……高坂社長!」

「なぜだ?このことを警察に全てはなし、法で裁いてもらおう。何も心配いらないから」

麗華は首を左右に振ると泣きながら高坂社長に懇願する。
< 44 / 60 >

この作品をシェア

pagetop