愛しのあの方と死に別れて千年<1>

12.アメリアの行方


 ルイスがウィリアムらの元へと戻った時には、既に日が傾き始めていた。

「ルイス!」
「彼女は⁉」

 森から一人で出てきたルイスに、エドワードとブライアンが詰め寄る。
 焦りを隠しきれない様子の二人に、けれどルイスはどこまでも冷静だ。

「アメリア様はご無事です。――ウィリアム様はどちらに」
「あ――あぁ、あいつなら馬車の中だ。カーラに付いててくれてる」
「無事なら良かった。けど、彼女はいったいどこに」
「それをこれから説明致します」

 こうしてルイスはカーラだけを馬車に残し、ウィリアム、アーサー、そしてエドワードとブライアンを前に、話し始めた。


「結論から申し上げます。アメリア様はご無事です。が――何者かに連れ去られました」
「何⁉」
「連れ去られたって、なんで⁉」
「そもそもなんでそんなことわかるんだよ!」

 エドワードとブライアンは取り乱す。
 その一方で、ウィリアムとアーサーは眉をピクリと寄せるのみ。

 二人はルイスの態度から感じ取っていたのだ。ルイスは既に、アメリアの居所に大凡(おおよそ)の検討がついているのだろう、と。

「お前たち、しばらくそのうるさい口を閉じていろ」
「な――なんだよ、アーサー」
「俺たちはただ、彼女を心配して」

 不満を隠せない二人に、今度はウィリアムが続ける。

「ルイスはもう全てわかっているのだろう。――話せ、ルイス」

 するとようやく二人は口を噤み、ルイスは話を再開した。
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