キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
薄紅色の奥に強い意志を灯すサーシャの凄みに、カルランは咳払いをした。
「ンン”っ、突然襲って……悪かった」
「もうしないって約束してください」
「そうしよう」
サーシャがふっと竜巻を消すと、場に息のしやすい環境が戻った。吹き荒れる竜巻の脅威に空気が薄れていた。誰もがホッと息をつくと、カルランがサーシャに向かって赤い翼を差し向けた。
「娘、名はサーシャか?」
「そうです」
サーシャはまだ怒りが消え切らずつんけん返事をする。レオナルドに手を貸して起き上がらせた。こんな場所からは早く早く帰りたかった。
「お主、その魔法でカルラスープを作れるのじゃろう?我に今ここで作ってみせよ」
急に鳥特有の黒目にわくわくの色を映したカルランが、サーシャに命令する。
ひび割れた石の床にどんと胡坐をかいて座ったカルランのワクワク要求にサーシャはどうすべきか迷った。サーシャが顔面血濡れでも美しいレオナルドを伺った。
「カルラン様に従おう。サーシャ」