忘れられた恋の物語
何も言えずに立ち尽くす私に斗亜は優しく笑いかけて言った。


「だから柚茉の隣に座らないようにした。俺、今すごく我慢してる。怖がらせたくないんだ。だから自分のベッドにいて?」


少し怖じ気づいた私は自分のベッドに帰ろうとした。

…でも足が動かなかった。斗亜と過ごせる最後の日なのだ。

今日は一日中やったことのないようなことばかりしている。遊園地で暗くなるまで遊んで、彼氏の部屋にお泊まりまでしているのだ。それなのに何を今さら怖がる?

今夜だけでも思うままに動いてみたかった。斗亜に何度も言われたように。私の自由に。

思いきって隣に座った私を斗亜が目を丸くして見つめた。


「座るの?」

「うん。」


まっすぐ見つめると彼の方が目をそらした。

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