忘れられた恋の物語
「遠いね。だから明日は早く出発するの?空港に行くから?」

「…うん。」

「離れても私と別れないでいてくれるつもりは、やっぱりない?」


答えは返ってこないとわかっていた。それでも一度聞いておきたかった。


「私の病気のことはどうして知ってたの?」

「…前にそれは聞かないって言ったのに。」

「答えなくてもいいよ。ただどうしても気になってたから聞いてみただけ。」


この質問にも斗亜は答えないだろうと思っていた。最初に私に聞かれたときの焦った顔は今でも覚えている。


「柚茉のこと、知ってたんだ。」

「えっ?答えてくれるの?」

「うん。別に隠すことでもないから。柚茉はあの屋上で初めて会ったと思ってるだろうけど、俺はもっと前から知ってた。病院で見かけてたんだ。」


驚きだ。あの日の前から斗亜は私を知っていたなんて。考えてもみないことだった。


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