卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
それから何度電話をしても、繋がらない。
もう、着信拒否されてるんだ・・・
どうして?その事ばかりが頭を駆け巡り、涙が止まらない。

私は直ぐに服を着替え、一緒に住んでいた大介の友達に事情を聞こうと、ショットバーに行った。
始めは口を閉ざしていたけど、泣き腫らした顔の私を見て、可愛そうに思ったのか、友達はバツの悪そうな顔をして話し出した。
「俺とは一緒に住んでなかったよ。住んでいたのは結婚する女性だ」
「結婚?えっ、どういうこと?」
「あいつ、本命がいたんだ。こんな事、言うのは酷なんだけど、君と知り合う前から付き合ってたと思うよ」
「でも、結婚しようかって、私、言われたのに。嘘だったんだ」
「きっと、彼女と上手くいってなかった時期で、そう思ったのかもしれない。でも、子供が出来て決心したんだと思う」
「えっ・・・」
私はそれ以上、言葉が出なかった。
私、二股掛けられてたんだ。
それも本命じゃない。ただ、遊ばれていただけ。
まして、その彼女との間に、子供が出来たって・・・
たまにあって喜ぶ私と、体の関係だけで繋がっていたんだ。
「それと、大介、その彼女と結婚して、海外赴任に一緒に行くらしい。もうあんな奴、早く忘れた方がいいよ。俺も呆れ返って、あいつとは連絡取ってないんだ」
私は、ただ呆然としていた。
「ごめんね、傷つけるようなことになって」
その人は頭を下げて、仕事に戻っていった。

ずっと裏切られていた。
そう、始めから。
寂しい夜を過ごした時間。
大介からの連絡を、ずっと待っていた時間。
私は何をしてたんだろう。
信じ続けた私が、バカだったのかな・・・
もう泣く涙も力も残ってない。
私はしばらく立ち尽くし、夜の街を彩る景色を見る事なく、1人で歩いて帰った。
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